3Dプリント出力要領データベース PLA-AN-0.3mm-Hydro-01
FlashForge社のAdventurer3とANYCUBIC社のPLAフィラメントを使用して耐圧部品を作るための出力要領です。ノズルは0.3mmに交換しています。
押出率と強度の関係
熱融解積層方式の3Dプリンタでは積層方向の強度が弱くなる強度異方性の特徴があります。積層方向強度を改善するため、押出率を相当に上げて積層間の空隙(ボイド)が生じにくくしています。最終的に押出率を115%に設定しました。
寸法精度
ここでの寸法精度とは、3Dモデルの寸法をどれだけ正確に再現できるかを意図します。押出率を上げると造形物が膨らむ傾向があり、ネジが入らなくなったり、狙ったはめ合い寸法が得られなくなります。 FlashPrintでは「容量を調整する」機能により内外形の膨らみを補正することができます。この出力要領では3Dモデルの寸法を再現する補正値に調整済みです。
未解決の問題点
この出力要領ではサポートの外し易さに課題が残っています。PLAフィラメントは積層間の溶着が得られやすい一方で、押出率を上げた場合にサポートとモデルが強固に溶着してしまいます。FlashPrintではモデルとサポートの距離の設定に上限があり、対策が出来ていません。よってサポート不要な形状とするか、印刷後にサポート面の手仕上げが必要です。
プロファイルデータ
FlashPrintにプロファイルを追加する方法は公式HPを参照してください。
出力要領
- 要領書No:PLA-AN-0.3mm-Hydro-01
- フィラメント:ANYCUBIC PLA BLACK
- 出力環境
- 3Dプリンタ:Adventurer3
- ノズル径:0.3mm
- 保温:無し
- 前処理
- プレヒート:無し
- ヘッド:-
- プラットフォーム:-
- プレヒート時間:-
- プレヒート:無し
- 後処理
- 熱処理:なし
- 表面処理:なし
- スライサー:Flash Print
- プリント設定:Adventurer3 の0.3mmノズル標準設定に対し、赤枠部を変更。
※耐圧部品からのリークがある場合に、「開始時点をランダムに設定」を有効にすると改善する場合有り。ただし設定保存されないので注意。
出力結果
自作引張試験機を使用して積層方向の引張試験を実施しています。水平方向のデータはありません。
- 試験方法:JIS K 7139 引張試験
- 試験片
- 水平方向:-
- 積層方向:JIS K 7139 A12
- 出力日
- 水平方向:-
- 積層方向:2021/01/05
- 試験日
- 水平方向:-
- 積層方向:2021/01/07
試験片 No. | 荷重方向 |
最大荷重 [N] |
幅 [mm] |
厚さ [mm] |
引張強さ [MPa] |
|
---|---|---|---|---|---|---|
210105-V-01 | 積層 | 374 | 5.2 | 2.2 | 32.69 | |
210105-V-02 | 積層 | 369.9 | 5.15 | 2.15 | 33.41 | |
210105-V-03 | 積層 | 380.7 | 5.15 | 2.15 | 34.38 | |
平均値 | 積層 | - | - | - | 33.49 |