Adventurer3×純正ABSフィラメントでデバイスの筐体(フレーム)を作るための出力要領です。積層面の強度を最大限確保しつつ、3Dモデルの寸法を高精度で再現し、ラフト面やサポート面の美観を改善しています。
積層面の強度
ABSフィラメントを使用した3Dプリントでは、積層面がパリっと割れるトラブルが多いです。ABSは積層時の収縮量が大きいことから、プリント済みの部分が収縮してノズルとの距離が離れ、樹脂の吐出不足により空隙が生じやすいと考えています。そこで、押出率パラメータを相当に上げて樹脂を密に積層することで、積層面の強度向上を図っています。
積層面の割れの原因と対策について詳しく知りたい方は、こちらの記事を参照ください。
寸法精度
ここでの寸法精度とは、3Dモデルの寸法をどれだけ正確に再現できるかを意図します。押出率を上げると造形物が膨らむ傾向があり、ネジが入らなくなったり、狙ったはめ合い寸法が得られなくなり、デバイスの筐体を作る用途では問題となります。
FlashPrintでは「容量を調整する」機能により内外形の膨らみを補正することができます。この出力要領では3Dモデルの寸法を再現する補正値に調整済みです。
美観
ABSのプリントでは反り防止のためラフトを使用することがほとんどですが、ラフト面がデバイスの筐体の意匠面となる場合もあり、ラフト面を出来るだけ綺麗にしておきたいです。この出力要領ではラフトとモデルの距離が調整済みで、モデルの1層目の印刷速度を極端に低速に設定しています。
また、サポートは強度と印刷速度のバランスが良いポリラインを選択しており、サポートの頭部レイヤ数を増やすことで、サポートを綺麗に剥離できるよう工夫しています。
プロファイルデータ
FlashPrintにプロファイルを追加する方法は公式HPを参照してください。
出力要領
- 要領書No:ABS-Frame-01
- フィラメント:Flash Forge ABS
- 出力環境
- 3Dプリンタ:Adventurer3
- ノズル径:0.4mm
- 保温:(冬場)機内にアルミ蒸着シートを貼付、(夏場)なし
- 前処理
- プレヒート
- ヘッド:220℃
- プラットフォーム:100℃
- プレヒート時間:10分
- プレヒート
- 後処理
- 熱処理:なし
- 表面処理:なし
- スライサー:Flash Print
- プリント設定:Adventurer3 ABS 高い(遅い)に対し赤枠部を変更。
出力結果
強度試験は未実施ですが、押出率とノズル温度はABS-Hydro-01と同じため、こちら参考にしてください。
外観は以下の通りです。
よし! #Adventurer3 pic.twitter.com/puKTke4MmR
— Nii (@neet2121) 2020年9月9日
(ラフト面)