息子からリクエストがあったので、親子で「リップスティック」を自作しました。製作過程を記事にまとめました。
リップスティックとは?
子どもたちがクネクネと乗りこなしているスケボーみたいなやつです。スケボーと違って、クネクネと動かすことで前に進むことができます。
(画像引用元:RIPSTICK日本公式サイト)
中央部の軸で"ねじり方向"に可動でき、内部に仕込まれた板バネ(トーションバー)によって適度に動きが制限されています。
(画像引用元:Youtube 「リップスティックネオ 分解」)
製作のコンセプト
- 3Dプリンタやレーザーカットを駆使して手軽に作る
- ねじり機構は、軸や軸受を使わないオリジナルの構造で実現する
- 息子(小1)にできるだけ作業を投げてみる
ねじり機構の構想
軸や軸受を使わない"ねじり"で、この機構を思い出しました。軸方向の往復運動を、構造の変形によってねじり方向の回転運動に変換する機構です。これはドリルによる穴あけのための機構です。
(画像引用元:芝浦工業大学プレスリリース)
これを模倣し、曲げ方向に剛性が強く、捩じり方向に剛性が弱い構造を、3Dプリントやレーザーカットで再構築することにしました。
最初はMDF材を使用することを想定し、レーザー加工で試作してみました。
トーションバーの試作。やりたい事は見えてきた。レーザーの調整ミスって汚いけど。 pic.twitter.com/mCwr38yNsK
— Nii (@neet2121) 2021年11月20日
この構造で、曲げに強く、ねじり易いトーションバーが作れそうな感じです。 MDF材では繰返し荷重でいずれ破断する気がしたので、ポリカーボネート板を採用することにしました。ポリカーボネートは耐衝撃性が高く、復元力も大きいため、トーションバーに使用するのにちょうど良さそうです。
全体のデザイン
Fusion360で3Dモデルを作りました。MDF板、ポリカーボネート板、3Dプリント部品を組み合わせて製作します。
3Dプリントでテーパーピンを出力し、クサビの作用でトーションバーを固定します。
トーションバーの中央部のオレンジ色の部品にも重要な役割があります。曲げ荷重に対し、トーションバーの曲がりを拘束し、座屈を防止します。
レーザー加工
僕らのガレージの40WクラスのCO2レーザー加工機を利用しました。
MDF材のベース部分は、カット後に木工用ボンドで接着しました。
ポリカーボネートのレーザー加工はコツが必要でした。MDFに比べて加工時の反りが大きく、レーザーの焦点がズレることで上手くカットできない部分が出来ました。四隅を固定してみましたがこの有様です。
僕らのガレージには、作業を手伝ってもらうために息子も連れて連れて行ったのですが、転がっていた端材で勝手に何か作ってました。
3Dプリント
自宅のAdventurer3でPLAフィラメント(PolyMaker社/PolyLite PLA)を使用しました。トーションバーのベース部分は260gと重たくなったので、片側は構造を変更し、170gに軽量化しました。
キャスターを斜めに取り付けるための部品も3Dプリンタで出力しました。
塗装
レーザーカット後のMDF部品は水性塗料のNUROで塗装しました。色のチョイスは息子に任せました。
組立
トーションバーを組み立てると、狙い通りの動きになりました。
良いねじり!! pic.twitter.com/3c2QSo9JSJ
— Nii (@neet2121) 2021年12月7日
その他の組立は子どもたちにお願いしました。M3のボルト・ナットの固定に苦戦していました。
組立後の写真です。
結果とまとめ
乗って走ることができました。
完全に機能している!!やった!! pic.twitter.com/x8CgMOwsMW
— Nii (@neet2121) 2021年12月7日
自慢気な顔でポーズを取ってくれました。本人も喜んでくれたみたいです。