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ものづくりの記録

ウェアラブルディスプレイ"Vufine"を試してみた

自作スマートグラスについてTwitterで発信していたところ、既製品をお貸し頂けることになりました。 自作スマートグラスの改善を念頭に、レビューしてみます。

ウェアラブルディスプレイ "Vufine"

  • 眼鏡に取り付けるタイプの非透過型ディスプレイです。
  • あくまでディスプレイ機能に限定されており、空間認識やハンドジェスチャー、実在空間と3Dモデルの重ね合わせなど、いわゆるARグラスと呼ばれる機能はありません。
  • スマートフォン、ビデオカメラ、PCなどの映像を表示することができます。ドローンの操作用モニタなんてのも想定しているようです。
  • 現行の第2世代のVufine+でいくつか改善点があるようですが、お借りしたのは第1世代のVufineです。

www.vufine.com

構成と構造

構成部品としては以下の通りです。

  • ディスプレイ本体
  • だてメガネ
  • 眼鏡に取り付けるマウント
  • HDMIケーブル(本体~HDMI出力機器を繋ぐ)
  • USB MicroB ケーブル(本体充電用)

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面白いのがディスプレイ本体を眼鏡にマウントする方法です。
メガネ側にマウント用の部品を取り付けて置けば、本体を近づけるだけで、磁石の力で取り付けができます。

マウントと眼鏡の固定は、シリコンのバンドを眼鏡のフレームに巻き付ける構造です。 思いのほか引っ張るので、強く固定できる一方で、いずれ劣化して千切れるような気がします。

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その他の外観です。

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光学系

Vufineの光学系に関する情報は見つけられませんでしたが、あくまでディスプレイという位置付けで低コスト化を図っているため、シンプルな光学系が採用されていると予想されます。
ARグラスの光学系のトレンドを分かりやすく解説されている素晴らしいスライドがあり、引用させて頂きます。

www.slideshare.net

このスライドのp.28までの内容が該当すると思われます。液晶と凸レンズ1個、または収差を補正するために追加されるレンズが直線状に配置されている構造です。 この構造では、以下の特性があります。

  • 視野角を大きくすると、アイボックス(目を動かしても見える範囲)が小さくなる
  • レンズを小さくすると、アイボックスが小さくなる

アイボックスが小さくなると、ディスプレイ本体の位置調整がシビアになり、使い勝手が悪くなります。
ディスプレイ本体の位置調整の裕度をある程度確保しつつ、高視野角のディスプレイを小さい筐体に収めるのは至難の業ということが分かります。

まずはPC画面を投影してみた

  • 重量バランスが悪く、眼鏡の取り付けた側が重たく感じます。ディスプレイ本体分の重量もあると思いますが、それよりもケーブルの重量の影響が大きいように思います。帽子型もあるようで、付け心地が気になるところです。

  • ディスプレイの位置調整機構が秀逸です。磁石固定部は回転方向にちょうど良い摩擦があり、調整と固定が可能です。ディスプレイの横方向位置も、スライド式で調整できるようになっています。ディスプレイの前後方向位置はマウントの位置をずらせば変更できます。綺麗に見えるように頻繁に位置調整を実施していたので、このあたりのデキの良さが使い勝手に直結する気がします。

  • PC画面をHDMI経由で投影してみました。ピントは良く合っているものの、720x405pxでは標準の文字サイズでは読み取りはできませんでした。

  • バッテリーの持ち時間は試験できていませんが、内蔵バッテリは小さいので、気になっています。映像出力機器から電源を取る前提であれば問題ありません。

自作スマートグラスは表示が若干滲む欠点があり、このピントがかっちり合う感じは魅力的でした。
そして使い勝手の面では重量バランスの良さが重要だと改めて感じました。メガネ型は重量配分に苦労しそうです。

iPhone画面を投影してみた

iPhone(iPad)からVufineに投影するためには、LightningケーブルからHDMI出力へ変換するコネクタが必要です。
今回安いものを探して買ったのですが、iOSの更新のたびにアプリでドライバを更新する必要があるらしく、オススメしません。Apple純正を買いましょう・・・。

文字サイズの設定を最大にすると、Twitterの閲覧も可能な解像度でした。

ただし、PCを投影したときよりも画面サイズが小さくなり、iPhoneの画面を遠く(手を伸ばしたぐらい)に持っている感覚です。
画面サイズを最大限使えるようにするか、解像度はそのままでも良いので、視野角がもう少し大きくなると良いと思いました。(第2世代では改善されているようです)

今後の自作スマートグラスへの展開

現行方式の自作スマートグラスで、スマートフォンレベルの画面でさえ満足に表示するのはかなり難易度が高いと感じました。
よってウェアラブルなインジケータとして大きな文字や数値を表示する用途が適していると考えています。
また、「ウェアラブルディスプレイやスマートグラスを使って何を実現するか」が明確でないと、良いハードが存在してもメリットが伝わらず、イマイチ盛り上がりに欠ける気がしました。
今後は「〇〇用スマートグラス」を強く意識して開発を続けたいと思います。

最後に

Twitterで情報発信しているうちに、有益な情報を頂いたり、今回のように現物の貸与までして頂けるようになりました。この場を借りてお礼申し上げます。